戦国時代から残る珍しい地名は、葉山の伝説が由来のひとつ

2023年2月号(220号)
特集|或る、うさぎ伝
葉山神社、山形鉄道フラワー長井線白兎駅(長井市)

長井市にある白兎(しろうさぎ)という地名。その名の謂れについては諸説あるが、白兎地内の「葉山神社」境内に掲示されている由来によれば、1393(明徳4)年に恵法律師という高僧が京都から出羽三山参りに訪れた際、隣村の沼地から金色の薬師如来像を見つけた。そこへ突然、白いうさぎが現れ、葉山の山頂へ導いたという。荘厳な山の景色に魅せられた高僧は、遠い出羽三山と契りを結び、葉山と月山の両方の神社を祀る祠を建て、修験の山として開山したという。さらに麓にも里宮として葉山神社を建立し、仏像を安置。以来、周辺に集落ができ、案内役の白うさぎにちなんだ地名で呼ばれるようになったとのこと。

※長井白兎の参考資料:山形新聞社・編集「やまがた地名伝説第一巻」(2003年発行)

境内には兎の石像が鎮座する。“はくと”と呼ばれる地名は他県にもあるが、“しろうさぎ”の呼称は唯一とか。
全国でも珍しい、狛兎が出迎えてくれる神社。かつては、羽黒修行の医王山龍善院という寺であったが、明治5年(1872)に葉山神社に。置賜葉山には白兎参道があり、山頂には奥宮月山宮と羽黒宮がある。葉山神社は、この2社の里宮となっている。
冬の『山形鉄道』フラワー長井線にて白兎駅から西吾妻山方面を眺める。雪雲と大地を漂う雪煙の境界が曖昧になる幻想的な風景が続く。
「フラワー長井線」の人気キャラ。左から、駅員のてん、うさぎ駅長のもっちぃ、駅員のぴーたー、助役のカメ吉。『山形鉄道』では、これらキャラクターのグッズを企画・販売している。
平原にポツンと佇む白兎駅。待合室にはウサギの耳に模したイラストが施されている。

gatta! 2023年2月号
特集|或る、うさぎ伝。

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