実りの秋に、数々の良食米を生んだ祖先を辿る。

2024年11月号(241号)
特集|亀ノ尾なしでは語れない
庄内町

全国で食される米のルーツを紐解くと、ある品種に辿り着く。庄内町の篤農家が世に送り出した「亀ノ尾」は稲作に希望を与え、現在は酒米としてのスペックの高さで私たちを魅了している。原点なくして今日の美味しい米は成り立たない。受け継がれている発祥の地へいざ。

上の写真は亀ノ尾の創選者、阿部亀治氏の玄孫である阿部耕祐さん。自身も庄内町で米農家を営んでいる。

阿部亀治氏の玄孫である阿部耕祐さんの圃場にて「亀ノ尾」の稲刈り風景。穂丈が高くなりすぎるので倒れやすく、化学肥料を使うと脆くなるため現代の農法には向かない。写真提供/阿部耕祐氏

山形が誇るブランド米の先祖

昨年の猛暑の影響で米の流通量が減ったことは記憶に新しい。米どころであり、全国でも有数の酒蔵数を誇る山形において、米の重要性は大きい。山形発のブランド米は国内外から評価が高いが、それらのルーツを辿ると庄内で生まれた「亀ノ尾」に行き当たることをご存知だろうか。

米の日本三大品種余目で生まれた幻の米

亀ノ尾は、1893(明治26)年に余目町(現在の庄内町)の篤農家・阿部亀治氏が参拝に行った神社で、冷害にも拘わらず健全に結実している3本の稲穂を発見し持ち帰ったことがはじまりとされている。一時期は、期待の品種として広まったが、近年の農法にはあわずに廃れていき長年「幻の米」とされていた。しかし、同町の鯉川酒造が栽培の復活に尽力し、1983(昭和58)年から酒を仕込みはじめ、現在では全国的な評価も高まっている。今回は、酒米として全国に名を轟かせるようになった山形が誇るブランド米の始祖・亀ノ尾をひも解く。

gatta! 2024年11月号
特集|亀ノ尾なしでは語れない

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