納豆菌はいきもの。だからこそ常に真剣勝負です。

2023年4月号(222号)
特集|山形的納豆メソッド
納豆素本舗 髙橋祐蔵研究所(上山市)

納豆菌と向き合い日本文化を継承する

私たちがスーパーマーケットなどから購入する納豆は、納豆製造会社が納豆菌メーカーから納豆菌を購入し製造している。山形県内ですら20社以上の納豆製造会社があるというのに、菌を製造できるメーカーは国内にたったの3社しかない。「納豆菌は枯草菌のなかのひとつで、日本の食文化特有の存在です。純粋培養が難しく、安定した品質管理がとても難しいため、菌の製造メーカーが少ないのでしょう」と話すのは、日本の「三大納豆菌」といわれる宮城野菌(別称:三浦菌、宮城県仙台市)・髙橋菌(山形県上山市)・成瀬菌(東京都)のひとつ『納豆素本舗(有)髙橋祐蔵研究所』代表取締役の髙橋淳一郎さん。

他の納豆菌と比べて強い糸引きと濃厚な旨味で定評のある「髙橋菌」を使用した納豆。
近年は家庭で納豆を作る人も増えているとのこと。500mlの業務用液体「納豆素」1本で6t分、粉末の「納豆素」は3gで30kg分の納豆を作ることができる。
納豆菌は農作物の土壌作りに活用されたり、納豆の糸の成分を樹脂として活用する研究なども進められているという。

昭和10年開業以来糸引きの強さが特徴

「納豆菌は生きもので、乾燥や熱などに強い反面、変化も起きやすい。ですから製造は毎回神経を尖らせています。とくに髙橋菌は個性的で糸引きが強く旨味が多く出るため、北は北海道から南は沖縄、、そして海外にまで数多く取引させていただいております」と続ける。
 納豆菌は発酵の過程でタンパク質を分解し、おいしさの成分であるアミノ酸を生成する。大豆に加える納豆菌によって粘りや香りなどに変化が生まれ、特性となるのだそう。おすすめの食べかたを尋ねると、「うちの菌で作った納豆は絡みやすいので、ひっぱりうどんにはもってこい。また味濃く仕上がるため、納豆をおかずとして食べたい人におすすめです」と教えてくれた。

木造の農作業小屋を改装したという髙橋祐蔵研究所。納豆菌を純粋培養する施設であるため、製造者以外の立ち入りはできない。
「髙橋菌でつくる納豆は大量生産には不向きですが、その分強い粘りと風味を生かした個性派の納豆メーカーにご支持をいただいています」と代表の髙橋淳一郎さん。

gatta! 2023年4月号
特集|山形的納豆メソッド

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